マーケティングにおいてペルソナが重要と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?今回はそもそもペルソナとは何か、古いといわれる理由について解説していきたいと思います。
ペルソナとは?
マーケティング戦略を立てる時に、対象となるユーザー層を年齢や生活スタイルなどで絞り込みターゲットを決定します。設定したターゲットに具体的な趣味や性格などを追加し、実在するユーザーかのように見立てたものがペルソナです。
定義したペルソナを利用して、行うマーケティングをペルソナマーケティングといいます。
ペルソナの例を紹介
30代後半男性を対象とした快眠枕のペルソナ事例をみてみましょう。
- 氏名:田中輝
- 年齢:38歳
- 性別:男性
- 未既婚:独身
- 職種:営業
- 住居地域:埼玉県熊谷市在住
- 車移動による営業の仕事で腰痛が気になる
- 休み時間やプライベートはスマホを使っている時間が長い
- 肩こりが深刻な状態で、ストレートネックを発症
- 寝つきが悪く、寝不足が続く
- 枕があわず、寝ても疲れが取れない
ターゲットとペルソナの違いは?
ペルソナとターゲットは似ており、よく混同されやすいです。ペルソナはターゲットよりも詳細に絞り込んだ設定を行います。たとえばターゲットであれば、設定は20代男性。ペルソナでは千葉県在住で犬を飼っている、グラフィックデザイナーの27歳男性という設定になります。
ペルソナは細かい情報がわかりますよね。ペルソナの設定はターゲットの設定よりも細かく、大変だと思うかもしれません。そんなペルソナにもしっかりとメリットがあります。
ペルソナのメリットとデメリット
メリット
- イメージする顧客の行動を予想できる
- 顧客の詳細なイメージを社内で共有できる
- 商品のプロモーション戦略が立てやすくなる
- 顧客の要求を想定した商品企画ができる
デメリット
- 手間とコストがかかる
- 偏見が入ってしまう
- 時代の変化に合わせてペルソナも変えていく必要がある
ペルソナマーケティングの成功例
「Soup Stock Tokyo」
創業者である遠山さんは、37歳のキャリアウーマン「秋野つゆ」という女性をペルソナとして設定しました。
人物の性格としては、見た目よりも機能性を重視し、共働きもしくは独身で経済的に余裕がある。
フォアグラよりも栄養価の高いレバーを好み、自分の時間や健康を大切にする。社交的であり、人生を楽しみたいという設定まで行いました。
ペルソナとして設定した「秋野つゆ」を喜ばせるために何をすべきかを考え抜き、メニューや出店場所、内装などを変更していきます。
体によいものには少し高くても支払うことを想定し、価格は通常サイズで630円と少し高めに設定。
出店場所もオフィスレディーが多い都心の駅チカやオフィスビルに絞っていきました。
座席も後輩や同僚とランチを楽しめるようにしつつ、1人でも食事を楽しめるように1人席も用意することに。
このペルソナマーケティングが功を奏し、創業からたった10年で売り上げ42億円、店舗数も50店舗を超える大成功を収めました。
ペルソナの作り方
ペルソナが効果的だと分かったところで、どのように作成していくのか手順を紹介します。
1. おおまかなターゲットを決定する
まずはどのような層を狙っていくのか、大枠で決める必要があります。
狙う層の年代や性別などをある程度しぼってみましょう。
しぼりこみを完了すると、狙うべきターゲットが決まります。
2. ターゲットの情報を集める
ターゲットを決めたら、彼らに関する情報を収集します。
ここで集めた情報をもとにペルソナを作成するため、しっかりとリサーチすることが大切です。
もしも情報が足りない場合は、実際にターゲットとなりうる人に取材するというのもひとつの手といえますね。
3. ペルソナ像を描く
情報収集が済むと、ペルソナ像を作っていく段階になります。
ここで描いたペルソナによって、マーケティング成功の有無が左右されるともいえるため慎重に検討していきましょう。
休日の過ごし方や趣味、価値観など細く設定すると、より鮮明なペルソナ像が完成します。
4. ペルソナ像が興味を持ちそうな商品、プロモーションを考える
作成したペルソナ像に魅力的な商品だと思ってもらためには、どのような工夫が必要か考えましょう。
一般的には求められていないニーズだとしても、ニッチなファンにとってはニーズだとされる場合があるので注意が必要です。
ペルソナマーケティングは古いのか?
古いといわれる理由
最近はペルソナを設定する時代は終わった、ペルソナは古いという声をたびたび聞くようになりました。
なぜそういった意見が出てきたのでしょうか。その背景としてインターネットやスマホの普及などにより、マーケティングがデジタル化してきていることがあげられます。
デジタルマーケティングツールを使用することで、顧客一人ひとりのニーズを正確に把握できるようになりました。
そういったものを使えば、ペルソナを設定する必要はないという意見です。本当にそうでしょうか?たしかに以前と比べると、ペルソナを設定する意味は異なってきています。
近年ではパーソナライズされたネット広告が表示されるなど、顧客に最適なマーケティングが可能に。
ペルソナも時代にあったものに変化させていく必要があり、よりペルソナを詳細に設定することで現在もマーケティングに利用できるものになるでしょう。
まとめ
ペルソナマーケティングはいまだに活用でき、大きな利益を生み出す可能性があります。
Web広告などはパーソナライズされてきており、ペルソナを設定することでより顧客を引きつけることが可能に。
ペルソナマーケティングは時代と共に変化しながら、マーケティングに必要不可欠なものとしてこれからも存在し続けるでしょう。